S24グラウンドT

 学園祭は、飲食物販売、催し物、展示物といった各クラスが教室を改装した、いわゆる校舎内の出し物と、グラウンドの特設ステージでのイベントを中心とした各部活の露店で構成されている。
 開場まで数時間を切った現在、学内のいたるところで、生徒達の往来は頻繁で活気に満ちている。

 ソレを見つけたのは、部活の露店の準備も終わり、特設ステージに上がりこんで小休止していた生徒だった。
 学園祭初日にはうってつけの晴天。
 満足げにステージ上で大の字に寝転んでみる。青空とともにステージ背面の校舎が見えた。
 その屋上。
 例年なら横断幕などが飾られる屋上は、今年に限り何も施されないとの事だった。
 だから、そこだけは学園祭から隔絶された、いつもどおり殺風景な屋上のはずだった。
 その屋上に生徒の姿が見える。

 思わず跳ね起きると、確認するように再度、校舎を見上げる。

 生徒の姿は確かに在った。一人や二人ではない、十数人の全てが女子生徒で、屋上に等間隔で並んで立っている。
 屋上は生徒にも解放されていて、休憩場所としても使われている。当然ながら防災フェンスも設置されている。
 しかし、今、屋上に立ち並ぶ女子生徒たちは、フェンスよりも手前に立っているように見える。

 背筋に冷たいものが走る。
 祭気分はすでに吹き飛んで、その生徒はとりあえず自分の部活の露店へ駆け出した。

 屋上に並ぶ女子生徒たちの異様が衆目となるのに、さほど時間はかからなかった。
 グラウンド全体がざわめく。




scene23 scene25